どうだ、明るくなったろう | Dead End

まるで,行き止まりの袋小路に迷い込んでしまったかのような.
「趣味:海外旅行・カメラ」である.数年前までは近場でカメラを持って散策したり,国内旅行をしたりしていたのだが,最近はもっぱらカメラは海外旅行の時くらいしか使わなくなっている.そして海外旅行はそう頻繁にできるものではない.結果,日常においては「趣味:無し」になりつつある.
では日常生活では何をしているのか.結論から言えば,何もしていない.朝起きてマクドナルドに行って朝マックを買い,帰って食べてコーヒーを飲んでいたら昼になり,重い腰をあげて昼ごはんを食べて歯を磨いたらお菓子の時間になっていて,紅茶を飲みながら何かをつまんで歯を磨いたらもう夕暮れで,買い物に行ってから晩飯を食べ,YouTubeを見ていたら夜になり,就寝.
食ってYouTubeを見て,寝て.おおよそ「うんこ製造機」である.無駄に食べてばかりで時間を使っているくせに,特に食事に興味が無いというのが,全く救いがない.それどころか最近は胃腸の調子も悪く,何なら別に食事もしたくない.
平日は嫌いだ.仕事をしたくないから.それでいて,土日もあまり好きではない.やることがないからだ.
何か新しい趣味を見つければ良いのでは?とも思うのだが,不思議なほどに特にやってみたいことがない.そうして,最後に残った海外旅行とカメラという趣味だけを大事に抱きしめている.これを失くしてしまったら,多分本当に抜け殻のようになってしまうから.
そんな自分が最後の海外旅行から次の旅行まで9ヶ月の期間が空いた.ビザの申請の都合とか,休暇の都合とか.期間があいた理由は色々あった.その間は,本当にやることがなかった.まるで,人生まるごと行き止まりの袋小路に迷い込んでしまったかのような.
そうして,ニューヨークに来た.
空前絶後の高物価時代である.フライトの運賃にギョっとし,欧州以上に高い宿泊費にギョっとして,多分現地で買うあれこれの値段にもギョっとするのだろう.入金されたばかりのボーナスのかなりの割合を吹き飛ばすことになるのだろう.
……それでも,行く.
海外に行っても,やっていることは実はただの徘徊だ.High St.で降りてブルックリンを歩き回り,歩き疲ればClark St.からまた地下鉄に乗り,Canal St.で降りたらそこは中華街で,少し歩いて向かったリトル・イタリーには意外と見どころがなくて.格子状に広がる街路に沿って南北の路線は充実しているけれど,東西方向の移動は意外としづらいマンハッタン,既に疲れた脚にムチを打つように,西へ歩く.ホテルに戻った頃は時差ボケも相まってとんでもなく疲れていて,そして気づけば昼ごはんを食べていない.ホテルの近くでピザを買って食べて部屋に戻ったら,気づいたら椅子に座ったまま少し寝ていた.
そんなことのために海外に行くのはバカらしい?そうかもしれない.それでもこうして大枚を燃やして街を歩いて,ようやく行き止まりの袋小路に日が差したような気持ちになる.
随分と贅沢な趣味だな,と思うけれど,こうするくらいしか人生の楽しみは,もうない.お金と体力が尽きるまでは,せめてこのままでいさせてほしい.











