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2021-06-14
#03 長く昏い春の終わり | Just before the dawn
2月,北風一辺倒だった風向きが変わって,たまに南風が吹くようになる.南風が吹くと,羽田空港の運用が変わる.目を凝らせば杉並区からでも都心上空を飛んでいく飛行機が見える季節になる.そしてそんな春の足音が聞こえてくる頃に体調を崩しやすくなる.「季節の変わり目は[...]

2021-03-18
#04 凪いだ箱庭 | 根暗草子
まともに国内旅行をするようになって8年目にして4回目の富山訪問.北は秋田,南は鹿児島まで未訪問の都道府県はまだ13県残っているにも関わらず,である.振り返れば新しい何かをするよりも,慣れたことを繰り返すのが好きな人生だった.ゲームのセーブデータは幾度となく[...]

2020-11-29
Cinematic Yokohama #02: 残響
また土曜日が終わっていく.一時期は落ち着いた特に用事もないのに出かける場所を絞り出しては出かける週末が,最近再び続いている.そして,何かに取り憑かれたように,なかば無意識のうちにそうしていた春先の頃とは違い,最近は意識的に,意図的にそうしている.4月から勢[...]

2020-11-22
丘の上にひとり
明け方の北大通を白い息を吐きながら歩いて始発に乗って湿原を見に行った翌日は,鈍行列車に揺られて降りた何もない駅から歩くこと数十分,熊笹を掻き分けて登った丘の上にひとり立っていた.大したことはしていないのに,なんだろうこの達成感は.割と幼い頃から一人で何かを[...]

2020-11-16
帰れない秋
10月の終わり,小春日和の羽田空港から1時間半ほど飛んで降り立った釧路空港から外に出た瞬間,「さむっ」と呟いた.それは北海道に着くたびに,どんな季節でも繰り返す儀礼でもある.北海道の秋は短い.一般的な印象とは異なって昼間は普通に暑い8月を過ぎ,9月に入り中[...]

2020-10-19
くもがくれ
ここ最近,蜘蛛を飼っていた.飼っている,というのは若干語弊がある.誤解を産まないようにするなら,そこにいることを黙認している,というのが正確なところだろう.小さい頃から虫が嫌いで,その虫嫌いは収まるどころか加速を続けている.最近では虫を見るのも嫌だし,触る[...]