Tag: SEL24105G (7/8)
丘の上にひとり
明け方の北大通を白い息を吐きながら歩いて始発に乗って湿原を見に行った翌日は,鈍行列車に揺られて降りた何もない駅から歩くこと数十分,熊笹を掻き分けて登った丘の上にひとり立っていた.大したことはしていないのに,なんだろうこの達成感は.割と幼い頃[…]
帰れない秋
10月の終わり,小春日和の羽田空港から1時間半ほど飛んで降り立った釧路空港から外に出た瞬間,「さむっ」と呟いた.それは北海道に着くたびに,どんな季節でも繰り返す儀礼でもある.北海道の秋は短い.一般的な印象とは異なって昼間は普通に暑い8月を過[…]
くもがくれ
ここ最近,蜘蛛を飼っていた.飼っている,というのは若干語弊がある.誤解を産まないようにするなら,そこにいることを黙認している,というのが正確なところだろう.小さい頃から虫が嫌いで,その虫嫌いは収まるどころか加速を続けている.最近では虫を見る[…]
平成
久しぶりにお台場に行った.外を出歩くのが憚られる風潮で割り引いても,お台場ってこんなに空いてたっけ?という感想を持った.お台場というのは“平成的な何か”だと思う.平成の初頭,TVドラマシリーズ『踊る大捜査線』で“空き地”呼ばわりされていた僻[…]
東京の空から
2020年の春から羽田空港の新着陸経路の運用がはじまった.経路直下に住む人々は騒音や落下物の危険性などから一部反対する向きもあるし,実際のところそれも理解できるのだが,自分自身が飛行経路直下に住んでいるわけではないので,所詮他人事だ.なので[…]
Cinematic Yokohama #01: 代償
アルバムを見返すと,だいたい1ヶ月か2ヶ月に一度はカメラをぶら下げて横浜に行っているらしい.割と病的だと思う.元はと言えば,予想に反して6年に及んだ横浜暮らしで撮り残したあれこれを――カメラをはじめてしばらくは「なんでもない街を撮る」という[…]