Bluelight Sonata

2024-12-29

「もしもし、あたし30歳。今 あなたの後ろにいるの。」

Zhujiajiao, Shanghai, China.

今年はもう海外には行かないと言っていたはずなのに.どういうわけか,気づけば中国・上海に居た.


ここ数年,誕生日に合わせて旅行をするのが習慣化しつつある.2021年は大阪に,2022年は仙台に,2023年は……どこにも行ってなかった.記憶というのは思った以上に曖昧なものだ.まあ,2023年はいわゆる例外というやつである.そしてこのバースデイ・トリップは,いつもより良いホテルに泊まってのんびりするスタイルにしている.2022年仙台は駅直結のシティホテルに泊まった.2021年大阪は……調べたら東横インに泊まってますね.何が「良いホテルに泊まる」だよ.記憶の捏造が凄まじい.

色々言っていることに脚色が見られるが,まあとにかく誕生日にのんびり旅行したい,とそういうことである.今年は再び大阪に行く予定だった.「ちょっと良いホテル」の選択肢が多いのは都市圏だし,せっかくなら東京以外で過ごしたい.となれば筆頭候補は大阪になる.

そうして大阪のホテルを探しつつ,物価高騰の今「ちょっと良いホテル」ってもう意外とないんだよな,どこも「ちょっと」じゃすまない金額なんだよなあなんて思っている最中,中国が日本人の観光ビザ免除再開を発表した.青天の霹靂.来年あたり,第三国を経由するトランジットビザを使って遊びに行きたいと思っていたのだが,ビザ免除で一気にそのハードルが下がった.

「ちょっと良いホテルに泊まる」前提なら,大阪に行っても中国に行っても意外と費用面に差は無い.「無い」と言う辺り,若干色々感覚が麻痺している気はするけれども.気づいたら上海への往復チケットを予約していた.


さて,今年のバースデイ・トリップは特別だ.何と言っても30歳である.ここ数年「もうアラサーだからなあ」なんてことを言い続けてきたが,あの野郎ついに来やがった."There he is! Look at him! Goddamn... that son of a bitch is coming!"という気持ちである.

20代の10年とは一体どういう10年だったのか.明確なドラスティックな変化はなくて,ただ最後の数年に一気に身体に顕れるボロが増えてきたくらいか.傷は治りにくくなり,腹を壊しやすくなった.現に成田空港に向かうべく中央線に乗ったらお腹が痛くなり,四ツ谷で降りてトイレに行ったのに,御茶ノ水でまた腹痛で下車する羽目になった.以前キューバに行ったときも御茶ノ水でトイレに寄ったが,それでも1回だったわけで.今回は2回だし,そもそも御茶ノ水まで耐えられなかった.

20代は御茶ノ水でトイレに行き,30歳を迎える今,四ツ谷でトイレに行って更に御茶ノ水でもトイレに寄る.これが20代で一番大きな変化だ.ちなみにトイレは御茶ノ水のほうが圧倒的に綺麗であることがわかったので,できれば四ツ谷はパスして御茶ノ水まで我慢したい.


大阪,仙台,上海.誕生日を旅しながら迎えるにあたって,今回は初めて海外で誕生日を迎えることになる.これは誕生日を30回繰り返してきて初めてのことだ.海外旅行中に30歳の誕生日を迎えると何が起こるのか.UTC+9のタイムゾーンに住む我々は,西側に旅すればするほど時差によって30歳の到来を遅らせることができる.今回訪れたのは上海,日本標準時と比べて-1時間.

1時間.この旅をすることで20代の時間を1時間引き伸ばすことができた.現地時間23時,日本時間では0時を廻って誕生日を迎えた.ところが中国標準時にいる自分はまだ23時で,ということはまだ20代ということになるのか?思いがけず得られた1時間の後半アディショナルタイム.なんだか不思議な気分だ.実際のところ今自分は何歳なのか?



「もしもし、あたし30歳。今 あなたの後ろにいるの。」とばかりに30歳がすぐ背後まで迫ってきた,貴重な1時間のアディショナルタイム.特に何をするでもなくホテルでゴロゴロして無駄に費やした.

10年後,40歳を迎えるときにはアメリカ領サモアかニウエという南太平洋に浮かぶ小島に行こうと思う.ここの標準時はUTC-11.民間人が訪問できる国としては最も日付が変わるのが遅い国だ.ここに行けば30代を20時間長く謳歌することができる.こうして早くも2034年12月の旅行先が決まった.

Category: つぶやき

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