Bluelight Sonata

2025-12-27

「もしもし、あたし31歳。今 あなたの後ろにいるの。」

今 あなたの後ろにいるの。 / camera α7CR / lens SEL24105G / location Thailand
Wongwian Yai Sta., Bangkok, Thailand.

去年,30歳になる日.「時差がある国に行けば少しだけ20代でいる時間を伸ばせる」というバカなことを言い出して上海に行った.そうやって人生のうちの20代を1時間延長した.しかし十の位が1つ増えるという理由だけで何の落ち度もない30歳が1時間削られるのは,果たして倫理的と言えるのだろうか?罪なき30歳が被った損害は償われるべきなのではないか?

そういうわけで今年はタイ・バンコクに行ってきた.日本との時差は2時間.30歳は上海で1時間削られ,バンコクで2時間積まれて足し引き1時間長くなっている.しれっと1時間長くなっている30歳であった.


30歳とは果たしてどんな1年であったか.自分は12月生まれなのでそれは2025年とは果たしてどんな1年だったか,という問いに近いのだが,やはり今年のビッグイベントと言えば転職だろう.

急転直下だったね,あれは.それこそ去年上海で29歳後半アディショナルタイムを過ごしている時,まさか30歳で転職することになるとは思いもしなかった.正確に言うと「そういうカードをを持っていて,いざと言う時は切れる選択肢はある」とは思っていた.ただそれをここで切ることになるとは思わなかった.

「何故転職したのか?」というのは,意外なことに転職に踏み切った時には自分でも分かっていなかった.転職して数ヶ月経った今になってようやくそれを客観視できるようになって,結局あれは“人”だった.一緒に大障害を耐えた上司とか,頼りにしていた隣のチームの大先輩が居なくなって,理解者が居なくなったから.というのが一番大きいかな,って今ならそう思う.

というわけで30歳の1年間は転職の1年間であった.冬に理解者を失い,春に転職を決心し,夏に転職し,秋に有給を消化して新天地で仕事を始めた,そんな1年.



そう,有給消化.この1年を振り返った時にやはり語らずには居られないのは有給消化だ.普段,せいぜい1週間の休暇をやりくりして海外旅行に繰り出していたところ,降って湧いた1ヶ月の休暇.

円安?転職するから冬ボーナスが無い?知るか,そんなことは.もう二度とこないかもしれない長期休暇はプライスレス.ここで使わない貯金なら,それは多分貯める意味などなかったのだろう.そう決心して敢行した欧州周遊旅行は18日間のロング・トリップ.長期旅行だから無理はせず,と言いつつ結局訪れた街では歩いて歩いて歩いて歩いてきた.移動日を除けば2万歩弱歩くのが3週間続いたことになるが,よくぞ耐えた30歳の身体よ.ちょっと風邪気味っぽくなりそう!と思った瞬間に葛根湯をぶち込んで,体調不良をなかったことにできたのも大成功だった.これまで経験したことのない長い旅とあって,準備ではてんやわんやだったし,不安もたくさんあったけれど,ドイツ,フランス,スイス,マルタ,イタリア,バチカン市国と撮り歩いた旅は,忘れられない3週間になった.

どれくらい忘れられない旅になったか?って.そう言われて答えとして一番しっくり来るのは「有給消化の長期旅行をしたいがために,もう一度転職することになるんじゃないかと思うくらいには」かな.



そう,体調と言えば.30歳になって急に身体にガタが来た感じはすごくする.仕事がちょっとアレだったとは言え,免疫が落ちてあっさりと帯状疱疹になって,最終的には治ったけど,疱疹が消えた後の神経痛に苦しんだり.バカは風邪をひかないと豪語していたが,ガッツリ風邪こそひかないものの,なんかちょっと本調子じゃないな,みたいな日が出てきた.元々乾燥に弱かった肌はもっと弱くなってしまい,冬はなかなか辛いものがある.

それを象徴するかのように,バンコクで迎える30歳の夜は,飛行機を降りたあたりから何か具合が悪くて,タクシーでホテルに着いた頃には頭が痛くなってきて.元々夜の散歩でもキメてから30歳の後半アディショナルタイム2時間を楽しもうと思っていたのだが,そんな元気もなくて,近くのコンビニでご飯を買って,ホテルの部屋で食べて,早々に寝てしまった.

「タイ・バンコクに行けば30歳の時間を引き伸ばせる」,それは正しいのだが,実際のところ引き伸ばした2時間はホテルでひっくり返って寝ていた.何をしにきたんだか,本当に.

翻って30歳という1年はどうであったか.転sy……いや,体調不良になるのかな,やっぱり.



それでもまだ30代.寝たらすっかり元気になるくらいの体力は,どうにか残っているらしい.明けて迎えた31歳の朝は,しっかり体調は回復していた.そう,これなんだよ30歳ってやつは.「明確に風邪を引く」みたいな感じじゃない.「疲れが溜まる」みたいな感じ.だからこそ寝たら治るのだけは救いだ.

31歳になって食べる最初の朝食はホテルのレストランで食べた.なんというごきげんな朝食.前はホテルの朝食よりは,朝散歩がてら街を歩いて何か食べ物を買ってくるほうが好きだったのだが,最近はどちらかというとホテルの朝食を食べるほうが好みだ.明らかにホテルの朝食のほうが高くつくし,朝食ビュッフェと言ったってそんなに無尽蔵の選択肢があるわけではないし.コスパが良いか?と言われたら全然そんなことはないのだが.ただ,ホテルでのんびりご飯を食べているほうが落ち着く.これも30代になって変わったことかもしれない.

頻繁にうっすら体調を崩しがちな31歳.こうやってノンビリ過ごす1年にしたいものだ.



さて,バンコクだが.12月は乾季なのだが,気温は何と31℃.31歳の初日を過ごすのには相応しい気温……と言いたいところだが普通に暑い.ただ,日本の夏と比べたら多少は涼しいし,湿度も低い気がする.日陰に入ると涼しいとまでは言わないけれど,それでも日陰で休んでいる時に風が吹くと一息つける,そんな気候.

そんな気候だったので,ついまたやってしまった.ホテルから出て4時間くらいぶっ続けで散策して,流石に疲れたのでGrabでタクシーを捕まえて移動して,また散策.この辺りでまただんだん疲れが表に出てきた.そういえば昨日の夜は頭痛くて寝てたんだったわ.どう考えても無理すべき日ではなかったよね.

でもね,ついやっちゃうんだよね.どうしても.むしろそれをやらかしてこそ旅だろう,とすら思っている.



結局夕方にはかなり疲れてしまい,今度は鼻水が出てくる気配もあったので,2日目も夜は大して散策せずにホテルに撤退.そういえばタイっぽいもの食べていないな――昼飯はしれっとマクドナルドをキメた.そういえばパイナップルパイは日本では売っていないからタイらしいものと言えるのか?――と気づき,GrabFoodでガパオライスを頼んでホテルに届けてもらった.

31歳はどんな1年にしたいか.多分性懲りもなく身体に鞭打って旅先を散策するんだろうけど,夜くらいはホテルでノンビリできる,そんな1年にしたい.

タイで食べた唯一のタイ飯のガパオライスは,めちゃくちゃ辛かった.