the only word I can say | 傘の下でバウヒニアが薫る
香港について一夜明けた.大きな時差がないのでぐっすり眠り,そしてすっきり起きることができた.やはり東アジアの旅は身体に負担がなくて良い.
目が覚めたらお腹がすいた.今回の旅は朝食無しプランで宿泊している.海外旅ではどちらかと言うと朝食付きのプランで宿泊するのが良いと思っているのだが,中華圏だけは例外.街に繰り出せばいくらでもおいしい朝食候補があるので,ホテルで朝食を済ませてしまうのはもったいない.
中華圏は朝食でも外食やテイクアウトの文化が根付いているのが嬉しい.日本でも「朝メニュー」みたいなものが無いわけではないが,そこまで根付いているという感じはしない.少なくとも朝食を食べに行ったらお店が混雑していた,みたいなことはあまりない.香港だと朝から混雑しているお店が普通にそこら中にある.
私はまったく自炊をしないので,朝食に限らずこうやって外食・テイクアウトの選択肢がたくさんある文化は羨ましいな,と思う.
滞在中は毎朝ホテルから散歩がてらそこら辺を歩き回って,美味しそうな朝ご飯を買ってはホテルに戻って胃に収めていた.1日目は点心を,2日目と3日目はパンを.そう,香港はレベルの高いベーカリーもあるのだ.そしてベーカリーではこれまたレベルの高いエッグタルトが売られている.この辺はポルトガル文化が流れ込んだマカオの影響もあるらしい.
香港といえば点心かな……と思い込んでいたのだが,2日目に食べたパンがあまりに美味しかったので3日目もパン屋に行ってしまった.でも点心も食べたかった.香港を楽しみ尽くすには胃が足りない.反芻動物になりたい.
食べたいものと言えば,一つミスったなと思ったことがあって.
私は英語以外の外国語は全く話せないのだが,旅先で使える単語1つくらいは覚えようと思っていて,メキシコ・キューバに行ったときは「水」を意味するスペイン語「agua」を覚えた.これは非常に切実な理由で,万が一英語が全く通じない人を相手にしたとしても,最低限水を買うことができれば死にはしないだろう,という最終防衛線的な戦い方故である.
そして,香港に来て覚えたのは「一个」だ.初日に行った点心屋のおばさんが英語を解してくれずジェスチャーで頼んだのだが,「一个?」と聞かれて良くわからないまま「Yes! Yes!」と言ったら無事購入はできて,後で調べたら「1個」という意味だった.そう言えば餃子の王将で聞いたことあったわ.
で,以降,指さして「一个!」と言っておけば何とかなる,と学んだので「一个!一个!」と連呼する一个おじさんになっていて,これが香港旅で覚えたワードになる.
ただ問題は,2日目に食べたエッグタルトがあまりに美味しくて3日目に再訪したパン屋で,本当は私はエッグタルトを2個買いたかったのだ.でも「一个」しか言えなかったからエッグタルトは1つしか買えなかった.一个おじさんの限界である.
次に香港に行くときにはちゃんと「2個」を何と言えば良いのか,ちゃんと調べてから行こうと思う.