Bluelight Sonata

2021-12-16

冴え渡る風

At Rissyaku-ji, also known as “Yamadera”, Yamagata.

コロナ禍にあって個人的に良かったと思うことの一つに「窓開けによる換気が広く行われるようになった」ことがある.やや暖まった車内に外から吹き込む風が顔に当たると北海道に居た頃を思い出す.


北海道に居た頃,学校の暖房はセントラルヒーティングになっていて,教室の窓際には金属製のパイプでできた暖房器具 ──未だに正式名称がわからない── があって,それが猛烈に発熱して教室を暖めていた.

その暖房の上には,当時「蒸発皿」と呼ばれていた ──これまた正式名称は未だ知らず── 金属製の皿に水を入れて置いていた.子供の頃は誰も説明してくれなかったので「そういうものだ」と思っていたけど,多分部屋を加湿するために置いていたんだろう.今思えば,あの暖房の方式なら加湿しなくてもさほど乾燥しないような気もするのだけれど.

朝暖房がついてしばらくすると,蒸発皿が熱くなって少し変形(?)して,ガタンと音を立てたりする.水の量や蒸発皿の置き方が良くないと稀に蒸発皿がひっくり返って水浸しになったりするレアイベントもあった.北海道の冬の朝の記憶は,蒸発皿が出す音の印象が強い.


この方式の暖房は,窓際の席に座っているとなかなかインパクトがある.

すぐ左手にはかなり発熱する金属製暖房器具と,それに暖められて空気中に水分を放出し続ける蒸発皿がある.控えめに言って暑いし,自分の周りだけやたらと湿度が高い.温度と湿気が顔にまとわりつくようで,ひたすら不快だった.

小学生の頃は頭痛持ちで,冬場はこの暖房のせいで頻繁に頭痛を起こしていたのを思い出す.自分が窓際の席のときは窓をほんの少しだけ開けて,吹き込む隙間風を顔に当てる.不愉快な熱気と湿気が顔の周りから吹き飛ばされて,思考がクリアになっていく.


窓を開けすぎると「ちょっと寒いんだけど!」とか怒り出す人がいる.今思えば「寒いから着込む」はできるけど,「暑いから脱ぐ」には限界があるので,優先されるべきは「暑い」サイドだと思うのだが,学校の教室という村社会ではそういう理屈は通用しないので,バレない程度に,バレても言われない程度に窓を開けるのがコツ.

「今なら『うるせえ!換気は大事だろうが!』の一言で粉砕できるんだろうな」と,電車の窓を開けながら,そう思った.

Category: つぶやき