Bluelight Sonata

2024-03-23

Epilogue. 唇からメキシコが薫る | Letter from Havana

Los Autenticos, Ciudad de méxico, Mexico.

カリブ海の真珠,あるいはアメリカの裏庭.どういうわけか,裏庭に押し入るために表玄関を通るのは現実的ではないらしい.よってキューバにはメキシコを経由して訪れた.

往路のトランジットで1日,復路のトランジットで6時間,それがメキシコで使える時間だった.


目論見としては,往路のトランジットで簡単な市内観光でもして,タコスを食べてやろうという算段だった.ところがいざメキシコ・シティにたどり着いてみれば,12時間に及ぶフライトと15時間にもなる時差で完全に生活リズムがやられてしまい,頭は痛いし胃はムカつくしで散々な状況.

メキシコでのローミングのためだけに契約した楽天モバイルは途中で何故か電波が入らなくなり,空港で現地のSIMを調達した頃には疲れ果てていて,結局Uberで市内を数か所強行軍的に周って写真だけ撮って,タコスを食べる余裕もなく空港に戻る.


In Ciudad de méxico, Mexico.

翌日の乗り継ぎに備えて空港のカプセルホテルを予約しておいたのは正解だったと言わざるを得ない.逃げるように空港に戻り,カプセルホテルで休んでいた.

一つ誤算だったのは,空港のお店の物価があまりにも高かったことだ.歩き回る気力もなくて,到着出口のすぐ目の前のパン屋で並んでいたサンドイッチとコーヒーを頼み,カードで支払ったのだが,後でレシートを見て日本円に直したら2000円を超えていた.往路メキシコ滞在は1日.3食で6000円超はギャグすぎる.

そのパン屋が殊更に高価だったのは否めない.ただ空港内のセブンイレブンで見つけたおにぎりも高かった.1つ600円くらいはしたと思う.ついでにそのおにぎりはあり得ないくらい不味かった.鮭とツナマヨのおにぎりが売っていたのだ.絶対うまいやん,これ,と思って意気揚々と食べたらおいしくなかった時のショックと言ったらないよ.

とどめを刺したのはリップクリーム.多分飛行機の中で落としてしまったらしく,気づいたらなくなっていた.空港内の薬局で購入.1000円也.日本だったら下手したら3本は買えそうだ.


一方復路は6時間のトランジット.体調は往路よりマシだったのでタコスでも食べてやろうと思ったのだが,トランジットの案内に従って進んだら制限区域外に出られなくなってしまった.無事6時間制限区域内への幽閉が確定した.そして制限区域内には寿司屋はあるくせにタコス屋はなかった.どうなってるんだメキシコ・シティ.

仕方がないので制限区域内のSUBWAYで昼飯兼晩飯とした.店員は頑なにスペイン語しか話してくれなかったので,もはや何を注文したのかもわからなかった.多分照り焼きの何かだったと思う.


At a mexican restaurant, Koenji, Tokyo.

東京,高円寺.結局メキシコでタコスを食べられなかった私は,どうしてもタコスを食べたくなってしまい,帰国後にメキシカンレストランに雪崩込んだ.

メキシコ帰りに楽しむメキシコ料理.うーんやはり本場とは違うな,と言いたいところだが本場の味がわからない.


唯一メキシコを感じられたもの,それは1000円もしたリップクリーム.明らかに国内で売っているリップのほうが品質はいいのだが,1000円もしたので使い切るまで捨てない所存.

そういうわけで,帰国から2ヶ月近く経つ今でも,唇からメキシコが薫っている.

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