季節の感じ方は巡る

まだ寒い2月.新宿御苑に行ったら早咲きの桜が咲いていた.薩摩寒桜と言うらしい.「桜といえば春」というイメージはあるが,その「桜」をソメイヨシノに限らないのであれば,2月から下手したら5月くらいまで見れる桜がある.2月は冬だし,5月は下手したら初夏だ.意外と桜は春だけのものではないのかもしれない.
では,季節は何で感じるか?北海道に居た頃は「雪が降っている冬と,それ以外」みたいな感じだった.それくらい,冬と冬以外で生活が変わる.その大きな違いに比べれば春と夏と秋の違いなんて微々たるものだし,北海道の春と秋は短い.だから冬と冬以外だ.
大学入学で上京して,駅で駅員のアルバイトをするようになってからは太陽の角度で季節を感じるようになった.駅のバイトは鉄道会社というだけあって時間に厳格で,駅から駅に移動するときに乗る列車の時間まで決められていて,バイトをやめるまで5年弱の間,同じ時間の列車に何度も乗った.すると,同じ電車に乗っていても夏は明るく,冬は暗い.朝ホームに立っていると,春と秋の特定の時期だけホームの屋根の隙間から太陽が差し込んで,まぶしくて目が眩む.
大学を卒業して就職したら,新人研修が始まった.4月から7月くらいまで,この期間は毎日定時に帰れた.嬉しいなあ.4月はもう薄暗かった定時後の新宿駅は,研修が終わる頃にはまだ明るかった.
研修が終わってからは毎日決まった時間に帰ることもなくなったので,帰宅時の明るさで季節を感じることはできなくなった.悲しいなあ.しかしその後,明け方にリリース作業をするプロジェクトに参加した事により状況は一変した.だいたい朝4時半くらいに作業を始めるのだが,季節によって作業開始時間の外の明るさが違う.眠気を誤魔化すためにオフィスを歩き回りながら,窓から明け方の東京を見下ろしてそれを知った.この季節の感じ方は割と気に入っていて,プロジェクトを離任するときの挨拶文には「早朝作業時の外の明るさで季節の移り変わりを感じる日々」という一文を加えた.このブログを始めとして,しょうもない駄文を書くのが大好きなので,離任の文章にすらよく分からないフレーズを含めてしまう.
そしてテレワークばかりとなった今.最近の季節の感じ方は,ベランダから見える街灯が点く時間.どうやら外の暗さに応じて街灯のオンオフが変わっているようで,暗くなると点き,明るくなると消える.視界に入った街灯がパッと点いたのに気づいて時計を見て,季節によって「もうこんな時間か」と思ったり,「まだこんな時間か」と思ったりする.そういう季節の感じ方を,今はしている.