Bluelight Sonata

2022-05-10

めくるめく

Spring has come in Hokkaido.

北海道の短い春がやってきた.1月に来たときには深い雪に覆われていた公園もついに新緑が芽吹いて,ペンペン草も残っていなかった極寒の季節をどうやってか生き抜いたエゾリスが走り回っていた.雪に閉じ込められた長い冬から短い春へ,4ヶ月で確実に季節は巡っている.


東京も季節は進んでいるけれど,まだ朝晩は肌寒くて,気分は冬とあまり変わらなかったりもして.4ヶ月の落差という意味では,北海道のほうが季節が巡りは早いのかもしれない.


そういうわけで4ヶ月ぶりの実家である.1年なり2年ぶりの帰省だと,また商店街の店が潰れたり,そのくせドラッグストアはまた新規開店していたり,そういう変化があったりするけれど,4ヶ月ぶりだとさすがに街はそう変化していない.


一方で,人の生き様みたいなものは刻一刻と変わっていくらしい.

小中高の同級生との縁がほぼ切れている今,「いまアイツなにしてる」的な情報は直接的には入ってこないけれど,狭い街故に実家の両親にはそれなりに情報が入ってきているらしく,「○○さん,××で働いてるんだって.」みたいなことが,帰省するとたまに話題になる.

自分が大学生の頃は,地元に残った元同級生が就職したらしいとか,早い人だと結婚したらしい,とかそういうパターンが主流だった.時が過ぎ自分が就職した頃は,「結婚したらしい」が増えてきて,早いと「子供が生まれたらしい」とか.大学院までモラトリアム延長したからというのもあるけど,自分の人生の巡りよりも,元同級生のそれのほうが明らかに早い.

今回に至っては「○○さんは××で働いていて,結婚して家を建てたんだけど,うつ病になったらしいよ」みたいな,自分の何倍もの速度でめくるめくドラマティックな人生を過ごしている奴がいるらしい情報が出てきたので,これには参った.

経験それぞれの良し悪しというか,幸せ不幸せは色々あろうとは思うけど,明らかに人生の経験値の溜まる速度が速い奴が,実家周辺には溢れている.

かたや東京の片隅で平日は仕事して飯食って寝るの繰り返し,土日は朝マックむさぼり食ってYoutube見ていたら1日が終わっている自分のようなやつ――しかもそれを2年以上繰り返している――がいると思えば,地元ではその何倍速かで人生を巡らせる奴がいる.一生追いつける気がしない.


よく東京と地方の対比で,東京は忙しなくて地方はゆったりしているとか,そういうイメージがあるけど,人生の巡りのはやさという観点では明らかに東京のほうが遅い.東京に出てきている元同級生のほうが,良くも悪くも安定的で数年切り出しても差分があまりないような,そういうパターンが多い.

人生の巡りという意味では案外東京のほうがslowな人生で,地方のほうがめくるめく人生なのかもしれない.