Bluelight Sonata

2025-07-14

Yeísmo andaluza | Beyond the head wind

Beyond the head wind / camera α7CR / lens SEL24105G / location España
Plaza de España, Andalucía, Sevilla.

ポルトガルからスペインの首都・マドリードへ飛んで,高速鉄道を乗り継いで辿り着いたのはアンダルシア州の州都,Sevilla.その読みを「セビージャ」と言う.

「セビージャ」と調べると絶妙に検索結果がパッとしないことがある.Googleマップ表記は「セビーリャ」.外務省は「セビリア」表記で統一らしい.しかし今回自分はスペイン語のテキストを買って勉強したが,テキストには"lla"は"ジャ"または"リャ"と発音すると書いてあった.この「または」というのがクセモノで,元は標準スペイン語では"リャ"発音だったらしいのだが,"ジャ"っぽく発音する「ジェイスモ/yeísmo」という現象がある.結果,スペインでも"ジャ"と発音する人と"リャ"と発音する人が混在している.

「じゃあどっちでも良いじゃん!」と言いたいところだが,今回自分は中途半端にスペイン語を勉強している.スペイン語に入門した身として,現地に溶け込むことのできる読み方をしたいところである.調べたところSevillaの位置するアンダルシア州では比較的ジェイスモが起こりやすいと言う.であるからしてSevillaは「セビージャ」である.決して「セビーリャ」でも,ましてや「セビリア」でもない,と強く主張する頑固で面倒くさい感じのオタクと化している.



セビージャに限らず,本当は地名は現地の読み方に忠実に読んでおくほうが良いと思っている.仮に現地語を話せなくても,基本英語を話しつつ地名は現地語読み.こうするのが良い.そちらのほうがその土地へのリスペクトがある感じがするし,英語が通じない人にも地名の部分だけは通じるというメリットがある.

個人的に結構気になっているのが特に中国の地名の読み方で,なまじ漢字という文字体系を共有してしまっているが故に謎の日本語読みをする習慣が広がってしまっているが,あれも現地語読みすべきだと思っている.というか,こと中国の都市名に関しては「上海」は現地語読みに近い発音をしているんだから,それを徹底すればいいのでは?と思うのだ.あるいはそれができないなら「上海」は「じょうかい」と言えば良かろう,ということだ.もっと言うと「北京」とか漢字音読みですらないし,現地語読みでもないというカオス.セビージャの一件で地名は現地語読みしろおじさんと相成ったので,今後は北京は"Běijīng"と発音することにすべきと強く主張したい!



スペイン語に話を戻すと,昨年行ったキューバもスペイン語圏である.その首都を「ハバナ」と言い続けてきたが現地表記は"La Habana"であり,スペイン語では"Ha"は"ア"と発音するので,本当は"ラ・アバーナ"と呼ぶべきだった.スペイン語を勉強したことにより1年越しの誤りに気づいたわけである.もっと言うと「キューバ」ではなく発音的には「クバ」が近い.「キューバ」と発音するのがそもそもナンセンスなのである.

その"クバ"旅行の中継地はメキシコシティ……だがこれも現地語では「Ciudad de México」で,読みは「シウダ・デ・メヒコ」に近い.メキシコではなくメヒコである.つまり私は,クバのラ・アバーナに行く途中でメヒコのシウダ・デ・メヒコで飛行機を乗り継いだ,ということになる.



……さて,そろそろ「Sevillaはセビージャと発音すべき」というこだわりが自分の首を絞め始めていて,少し後悔している.変なこだわりを見せつけたせいで外国の地名を怖くて口に出せなくなりそうだ.

そもそも,スペインに来る前にいたポルトガル・リスボンだって「リスボン」ではなく「Lisboa」なので「リスボア」と呼ぶべきではないか.という正論ブーメランが突き刺さって無事KO.敗因はポルトガル語を勉強していなかったことによるものです,お疲れ様でした.

と,まあ,徹底するのは難しいと言わざるを得ないけれども,今後非英語圏を旅する時は,この地名の現地語読みはどうなっているんだろう?ということを頭の片隅に置きながら旅をするようにしたい.