Bluelight Sonata

早朝のイスタンブール国際空港に着いた．時刻は朝5時前．ただでさえ早朝に着く便が更に早着した．世界最大級の空港も流石に閑散としている．

機内食も食べたのに空港でも朝ご飯を食べてのんびりして，荷物を整理し，両替をして．そこまでしてようやく外が明るくなってきた．と言ってもようやく7時になるかならないか，という感じ．1日目を目一杯使えて最高，と言いたいところだが時差ボケと睡眠不足で眠気は最高潮だ．

やろうと思えば空港で寝落ちもできるんじゃないかってくらい眠かったけど，キャリーケースを引っ張ってホテルを目指す．メトロを乗り継いでようやくたどり着いた最寄り駅から更に歩いて，やっとホテルに辿り着く．畜生，もう少し駅から近いホテルにするべきだったか．空港からメトロだけでたどり着ける最寄り駅を選んだところまでは良かったのだが．詰めが甘いと言わざるを得ない．

時刻は10時過ぎ．あ，どうも．今日から2泊お世話になるものですけども．チェックインには早すぎると思うんですけど，荷物置かせてもらえます？と眠気で縺れそうになる舌を動かして英語を紡ぐのは結構キツい．

で，そういうわけで「荷物預かってもらって良い？」と言ったら「いいよ！朝飯食べる？」と聞かれた．完全に予想外の返答にブッたまげて思考が止まる．お願いの仕方を何か間違えたか？「baggage」って言ったつもりが「breakfast」って言ってたとか．いやんなわけあるか．そもそもここホテルか？間違ってカフェ入ったりしてないか？

結論，何も間違ってなくて，ただそのホテルがこれ以上ないほど親切なだけだった．もうちょっとしたら部屋の準備できるからロビーで待ってていいよ！あ，コーヒー飲む？と至れり尽くせりでとんでもないアーリーチェックインをさせてくれた．まだ午前中だぞ．

ご厚意でチェックインさせてくれたが，ちょっとここで一眠り，なんてしようものなら起きたら夜になっているのは間違いないので，荷物だけ置いて街に繰り出す．天気は曇り．予報によると，明日は雨になるらしい．モスクの見学は明日に回すことにして，今日は市内を散策することにした．向かうのはカドキョイ．

エミノミュからフェリーに揺られてカドキョイに向かう時に初めて気づいたけど，そういえば今自分はボスポラス海峡を超えて，人生初のヨーロッパにいることになるのか．にも関わらず早速再びボスポラス海峡を渡りアジア側に向かっているのは，一体どういうわけだろう．不思議な引力が作用しているとしか思えない．

完全に，ノープラン．

フェリーから見えた雰囲気の良さそうな坂道を登ったら猫がいて，振り返ったら海が見えた．地図も見ないで歩いたからどの坂だったのかもわからない．旧市街に比べて街は綺麗で，活気はあるけど喧しくはない，そんな街だった．

その後旧市街，新市街も歩いたが，結局イスタンブールの市街地で一番好きだと思ったのはアジアサイドのカドキョイだった．せっかくの初ヨーロッパ到達，という旅のはずが，真っ先に向かったのはアジアサイドで，気に入ったのもアジアサイド．DNAレベルでアジアが染み付いているんだろうか．

カドキョイを歩いていたら雨が降ってきて，それで旧市街に戻ることにした．天気が良ければもっとカドキョイを歩いていたかった．

イスタンブールを再訪することがあれば，今度はカドキョイをメインに街歩きしたいなと思う．